エノキダケイコの日常

映画、本、旅行のブログを毎日楽しそうに書いているエノキダケイコの、それ以外の日常生活やお知らせを書くブログ。どれだけ書けば気が済むんだ!?

新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」@新国立劇場 2023.6.11

2月に「コッペリア」を見て以来、ちょっとバレエにはまっています。言葉がなくても雄弁な身体で演じる世界って素敵。

先日見たのはシェイクスピアというちょっと変わり種だったので、オーソドックスなものも見たいなと思って「白鳥の湖」。なんとなく知ってるのは小さい頃「こどもバレエ」でも見たんだろうか。

今回、オデットは柴山紗帆、王子は井沢駿。オデットは繊細でか弱い役柄だから、というのもあるけど、まったく無駄のない身体で切なそうに踊るのが、もう弱っていく白鳥にしか見えません。王子は自分を貫こうとしているのに、まんまと罠にかかってしまい、絶望する・・・という心の動きがひしひしと伝わってきて、本人の若さや純粋さが演技にそのまま出ているように感じました。

衣装を見るのも好きだけど、今回は白鳥はイメージ通りの純白、王子たちも定番のように見えたけど、王様や王女たちの喪服やたっぷりした衣装、各国からの来賓のキャラ設定などが楽しかったです。あと、悪役っていつも魅力的。悪い演技ってほんとに面白い。

この次は、楽しくてカラフルな作品も見てみたいな、と思います。この次に「くるみ割り人形」やるときは先行予約しなくちゃ・・・。

劇団四季「オペラ座の怪人」@大阪四季劇場 2023.5.13

オペラ座の怪人」って、昔から何度も映画化されていますが、私が見たのは「オペラの怪人」というパリオペラ座を知らない人が邦題をつけたっぽい1925年のサイレント映画。おどろおどろしい雰囲気には惹かれたけど、ストーリーが複雑でなかなか頭に入ってこなかった記憶があります。それより「オペラ座の怪人」x「ファウスト」をアメリカンロックバージョンにした、ブライアン・デ・パルマ監督「ファントム・オブ・ザ・パラダイス」という映画がすごく好きで、そこからこの作品に興味をもったといっても過言ではありません。

最近なぜかオペラやバレエを見ることが多くて、一度はやっぱり劇団四季見ておきたいよね!見るならこの作品だよね!でも今東京でやってないね。大阪に行く機会があったら見よう!・・・そしてとうとうその機会がめぐってきました。

私が買ったのはA席9350円。すごく生意気をいうと、生オーケストラでないのに高いなぁってちょっと思った・・・。でも、本当にオペラ座という魅惑のホーンテッド・ハウスに足を踏み入れたかのような舞台美術が素晴らしくて、始まる前からちょっと鳥肌立ちました。

ゴシックな舞台美術は、劇中劇の上演演目に合わせてきらびやかに変化します。中心的なセットが巨大なのがいいんですよ。圧倒されるくらい大きいものって、特別な心理的効果があるように思います。エジプトのルクソールカルナック神殿みたいに。

衣装もカラフルで豪華。そして何より、出演者全員の歌がうますぎる。この日の怪人は清水大星、ラウルは岸佳宏、クリスティーヌは藤原遙香。支配人たちもダンディで素敵だったなぁ。オペラ座の怪人だから、オペラの歌い方をしてるんだろうか。クラシックコンサートとしても聴きに行ける気がします。

出演者についていろんなニュースサイトやインタビューを見て初めて知ったのが、メインキャストがとても若いこと。4~6人で交代しながら演じるので、年齢や経歴はさまざまなのかもしれないけど、こんなに歴史のある劇団のメインにこんなに新しい人がいるのってちょっと驚きました。でも、複数で同じ役を演じるからか、なんとなく服装やメイクは彼ら個人に合わせてあつらえたものではなく、個性が見えてこない、個人の魅力にもっと圧倒されたい、という気はしました。何度もさまざまなキャストで見てみたら、個性も見えてくるんだろうな。

ともかく、満足度たっぷりの豪華なエンターテイメントでした。いつかまた違う演目も見てみたいな。

(このあとガストン・ルルーの原作も読んで、復習もしっかりしました)

新国立劇場バレエ団「シェイクスピア・ダブルビル マクベス/夏の夜の夢」@新国立劇場オペラハウス 2023.5.5~6

新国立劇場友の会」にたまたま入会し、演劇も見た、オペラも見た、バレエも見た。友の会の会費は、オペラシティの飲食店の割引で元が取れたので、もう何も見なくても大丈夫かも・・・と思っていた私ですが、どうしても一度挑戦してみたかったものがあります。それは「Z席」。公演当日の10時から発売される”見切れ席”です。S席13200円、一番安いD席でも3300円なのにZ席はわずか1650円。先日「コッペリア」で感動した新国立劇場バレエ団だし、シェイクスピアを踊るというのも私には新鮮に思えたので、9時55分にスタンバイして連打で購入。これが5月5日(金)のこと。私この劇場の公演って、発売日に買わないと全部売り切れてと思ってたんだけど、行ってみたら意外と後ろのほう(C席やD席)には空きがあります。5日と6日はキャストが入れ替わるし、Z席からはやっぱり舞台全体は見えなかったので、翌日の千秋楽のD席チケットも買って、2日連続で見てきました!(総額わずか4950円!)

 

【まず、座席について】

Z席は「舞台は見えません、声だけです」という条件で販売されています。とはいえ全く見えないわけではありません。むしろ「舞台全体を見るために乗り出してはいけない席」ですかね。4階席の脇や後ろに設定されてるのですが、私の席は(10時0分5秒くらいにクリックしたからか)左手いちばん前。一番前のほうに1列だけあるので、もしかしたら一番高いバルコニー席?などと妄想したことがあったけど違いました。言われたとおりに背中を背もたれにつけると、舞台の上手(向かって右手)1/3見えるかどうか。でもだんだん慣れてくると、お隣の方のポジションと自分の安全性をかんがみながら、迷惑にならない程度に浅めに座ると舞台半分くらいは見えます。とはいっても全体が見えないと何が起こってるかわからない場面が多く、もう少しおこづかいのある人はD席までを買うのが正解だなと思いました。ただ、すごく前の方なので演者さんたちの表情までよくわかるし、オーケストラピットが覗き込めるのはよいです。

6日のD席は、5日と反対、舞台むかって右手に近い4階席で、舞台全体とオーケストラの一部が俯瞰できるいい席でした。(※かなり遠いけどね)せっかくのダブルキャスト、片方だけこの条件で見るのはかなり偏っているので、感想もその辺は割り引いて見ていただければと思います。

 

【演目について】

マクベス

「夏の夜の夢」は妖精たちがいたずらをする可愛いお話なのでバレエ向きだと思うけど、「マクベス」は血で血を洗う復讐劇でバレエ化は難しそう・・・と思ったら実にこれが世界初演なのだそうです!すごいもの見た!

5日のマクベスマクベス夫人は奥村康祐と小野絢子。私のイメージどおりの堂々とした悪意あふれるカップル。自信過剰なマクベスと、知恵の回る妖婦。血の感触まで伝わってくるようなどろっとした味わいでした。

6日は福岡雄大と米沢唯。米沢唯はコッペリアではこのひと妖精だと思ったので、どうやって妖婦を演じるのか興味がありました。でも妖婦って感じではなかったな。どこかクールでドライな、腹黒いとか計算高いというより、悪魔が取りついたか、天性のサイコパスか、という趣き。そしてこの人はほんとうに表現が豊かなので、中欧あたりの画家がさらりと描いたきれいな悪女みたいに感じました。

 

・夏の夜の夢

5日の配役はオベロン速水渉悟、ティターニア池田理沙子、パック佐野和輝、ロバのボトムは福田圭吾。これすごく良かったなぁ。背中にちっちゃい羽根までついた妖精たちの可愛かったこと。池田理沙子の踊りはとにかく優美で品格があって可愛らしく、プリンセスという印象。パックの身のこなしはサーカスの軽業師みたいに軽くて、ロバくんは愛嬌たっぷりで何度も声を出して笑いそうになってしまいました。

6日はオベロン渡邉峻郁、ティターニア柴山紗帆、パック山田悠貴、ロバのボトムは木下嘉人。ティターニアは迫力たっぷりでどこかラスボス的。パックはちゃんとパックなんだけど、なぜか前日のほうがだいぶ軽く感じられました。ロバくんは、前日のほうが(※いい意味で!)アホっぽくて可愛かったなぁ。6日の演者さんたちのほうが、全体的に大人っぽくて達人感があったけど、この演目は若々しく軽く(+可能なかぎりバカっぽく)やっていただいてよいのかも、と思いました。

 

【全体的に】

私、ダンスを見るのって好きだわ。人の身体がこれほどまでに美しく動けるのか、と見るたびに感動します。これはダンスの種類問わず。オペラや演劇と比べて、言葉がないぶんバレエにあまり惹かれてこなかったけど、むしろ私がライブで見たいのはこっちだったかも・・・という気づきがありました。「Z席から見てみたい」という、だいぶ不順な動機で見に行ったのに、翌日もっといい席で見てしまうくらい。前にも書いたけど、ここまで研ぎ澄ませた芸術ってほんとに素晴らしいです。同じ人生なら、人間の暗いところ、悪いところに注目するより、人間の「粋(すい)」にときどきでもいいから触れるのって大切。

バレエ、また見ます。同じ値段なら、次はちゃんと先行予約でチケット取るわ・・・。

 

新国立劇場バレエ団「コッペリア」@新国立劇場オペラハウス 2023.2.24

バレリーナって男性も女性も妖精みたい。地球の重力を超越できたかのように、羽根のようにふわり、ふわり、と舞い踊ります。言葉がなくても、表情と動きでなんでも伝える。繊細な演奏と、繊細なおどりと、完成度の高い舞台美術。バレエって人間の肉体を超えて神に近づこうとする天国の芸術みたいだなぁ。(それだけ身体に無理をさせてるのかもなぁ)

一流バレエ団のバレエを見たことは初めてではないはず・・・30年前にロンドンのサドラーズ・ウェルズに行ったはず・・・でもどのバレエ団のどの演目か記憶がない。そのくらいご縁がなかったのですが、新国立劇場の近くに住んでいることもあり、一度思い切って芸術に浸ってみようと思って「クラブ・ジ・アトレ(新国立劇場友の会)」の会員になってみたのでした。

年末の「くるみ割り人形」にも心が動いたけど、想像がつかないこちらの演目を選びました。でも原作者が同じで、両方とも人形がモチーフになっていることなど共通点もあったんですね。そしてコッペリアの振付をした故ローラン・プティのことは名前しか知りませんでした。クラシックバレエって全部美しくて愛にあふれていると思ってたので、彼の演出したまるでドラキュラみたいなコッペリウス博士の造形がすごく新鮮でした。(往年のドラキュラ俳優ベラ・ルゴシの影響もあったんではないかしら??)

演じたのはヒロイン スワニルダが米沢唯、恋人フランツが井沢駿、コッペリウス博士が山本隆之。スワニルダ、もう可愛くて可愛くてたまりませんでした。フランツと一緒に踊るときの息はぴったり。恋人同士というより完璧なチームという感じ。コッペリウス博士は、バレエってこんな動きもアリなんだと思って面白く見ました。

(でもバレエの動きって割と型があるのかな。動き自体が”意外だ”と思ったところはあんまりなかったです。意外性を期待してるわけじゃないですが)

コッペリア人形の演出も面白かった。扇子を動かすのは、幼児番組のライブショーのときみたいにリモートで操作するのかな・・・上手に踊ってるように見せたり、崩れ落ちたりする変化にまんまと気持ちを持っていかれました。

演奏は東京交響楽団、指揮はマルク・ルロワ=カタラユード。繊細でありつつ、楽しさが伝わってくる温かい演奏だったなと感じました。

バレエって舞台芸術のなかでは一番、宝塚と親和性が高い気がするな・・・。可憐で清潔な感じが。(たまたま、ここ数年ヅカオタとなった友達からチケットが回ってくることがあったので思い出しています)久しぶりに夢の世界に浸って、うっとりした貴重な時間でした。

人間って、総体として見ると戦争もイジメもするけど、こんなに美しい芸術や崇高な宗教建築を作るのも人間なんだよな。人間が作ったこわいものやみにくいものだけじゃなくて、時々はこういう美しさの粋に触れることって大事だなと思ったのでした。関係者のみなさん全員に感謝したいです。

NHK交響楽団「ベートーヴェン 第九演奏会」@NHKホール 2022.12.25

クリスマスに、NHKホールに、N響「第九」を聴きに行くのって、なんか王道な感じがすごくしませんか?私はもうこのまま天寿を全うしてしまうんじゃないか、というくらい大トリ感すごいです。

渋谷で10年も働いてたし、海外に行くとけっこうクラシックも聴くのに、自分でチケット買って行ったことはほとんどなかった・・・。やっぱり一度行ってみないと、と思って思い立ってみたのです。

指揮は井上道義、ソロはバスが、先日の「ボリス・ゴドゥノフ」でワルい高僧を堂々と演じていた、ジョージア出身のゴデルジ・ジャネリーゼ。テノールはドイツからベンヤミン・ブルンス。メゾソプラノ藤村実穂子、ソプラノはドイツからクリスティーナ・ランツハマーというインターナショナルな方々。合唱は新国立劇場合唱団と東京オペラシンガーズのみなさん。

ステージ全体が俯瞰できる3階席だけど、人の顔までは見えないので、先日買ったオペラグラスを持参。体を左右に大きく動かしながら全身で演奏するオーボエ奏者、どっしりと安定感のある黒いドレスのコントラバス、出番を待ち構えて待ち構えてそーっとなでるように叩くバスドラム・・・細部が面白くてたまりません。

生演奏でストリングスを聴くと、どうしてこれほどの技能の演者たちが、太い1つの楽器を全員で奏でるように、音を合わせられるんだろう、と胸を突かれるんだ。生のバイオリンを聴くのは初めてではないのに、いつも心が裸になったように感じて、そこに到達するまでの大変な道のりが迫ってきて、なんだか涙が出そうになる。

音楽ってすごい。世界遺産の建築物みたいに、人間が作りだしたものの最高峰だな。オペラや歌のない演劇、バレエとかもそう。絵画とかは「人類が」というより一人の人の特性によるもののように思えるので、力を合わせて年月をかけて構築するものとはまた違う。

今日もこんなによいものを見せてもらえて、作った方々(ベートーベン含む)と神様に感謝です。

 

雪組公演「蒼穹の昴」@東京宝塚劇場

久々に友人から誘ってもらえたので、日比谷に出向いてまいりました。チケット高い・・・でもこれほどの能力と技能のある出演者が大勢、しかもオーケストラの生演奏つき、と考えるとオペラより割安。

以前花組の「元禄バロックロック」を見たとき、とにかく衣装が可愛くて美しくて!日本の伝統的な着物を自由にカラフルにアレンジしていて、素晴らしいクリエイティビティでした。舞台美術の一部として出演者や音楽を巻き込んで、新しい”スチームパンク”の世界を創り出していました。

その印象が強かったので、今度は昔の中国が舞台ときいて、衣装にものすごく期待して行ったのですが・・・期待以上でした。みごとな刺繍をほどこした”胸当て”、体の線に沿って流れるチャイナドレス。ドレスの下は踊りやすいたっぷりしたフレアスカートやパンツになっていて、動きにつれてまた優雅に波打つんです。衣装も含めた美術だけでも価値がある舞台で、プログラムは写真集としてずっと保存しようと思います。

やっと内容に触れますと、原作は言わずと知れた浅田次郎の「蒼穹の昴」なので定評があります。で、それをどう料理して宝塚の舞台にするのか?長大で複雑な物語をどうわかりやすくするか、どう宝塚らしくロマンチックに仕上げるか。原作を読んでないのですが、おおむね私にもストーリーが理解できたし、登場人物たちの行動にも説得力が感じられました。よくこんなにまとめたなぁと思ってプログラムを見ると、演出家はとても若い人で、もともと浅田次郎の熱心なファンなんですね。だから理解が深いのか。・・・そんなもろもろの相乗効果で、楽しめる豊かな作品になっていたと思います。

それと、今回はお芝居のあとの独立した「レビュー」がなくて、この物語の大団円を表現したようなダンスがあったのですが、また別の衣装です。男性役の人たちが羽織った、刺繍の入った茶色の紗のガウンや、女性役の人たちが着ていた白地に群青色の模様のドレスの首から腰への太いライン(景徳鎮の陶磁器を模したらしい)など、こちらも目を奪われる美しさでした。

もしかして・・・フィナーレのダチョウの羽の巨大なつくりものがなければ、こんなに衣装にお金をかけられるのかしら・・・

(すみません、宝塚ぜんぜん良く知らないので、感覚だけで適当なことばかり書いてしまいました)

https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2022/soukyunosubaru/index.html

ムソルグスキー作・マリウシュ・トレリンスキ演出「ボリス・ゴドゥノフ」@新国立劇場

オペラを通しでちゃんと見るのって人生何回目だろう。5回は見てないよな。という初心者です。原作も読んでいません。という前提でお読みください。

新国立劇場、近くに10年以上住んでるのに中に入ったことなかったので、先日初めて小劇場でお芝居を見て、「劇場」のあの雰囲気にうっとりとしてきたところ。でもやっぱり新国立劇場の真骨頂はこの大劇場ですね。幕間にスパークリングワインが飲めたりもして、なんとも素敵です。もう少しオペラの基礎体力をつけてから、私も幕間バルをそのうち経験してみたいです。(今はプログラム読むのに大忙し)

あえて前提知識ゼロで見てみました。しかも4階席。フレームが光っている立方体がごーっと音を立てて動いて、その中の人々や風景が内容に合わせて移り変わっていくの面白いですね。ごーっていう音がうるさい気もするけど、それを気にしないのがロシア的なんだろうか。で、ストーリーは、ボリス・ゴドゥノフってのは大変悪い領主で、最後は人民(というよりみんなスーツ着てるので官僚たちにも見える)に血まつりにあげられるという理解でよいですか?かなり障害の重い子どもが一人、どうやらすでに亡くなった子どもが一人。子どもたちに対する思いが重すぎて政治どころではない人です。昔はよい領主だったんだろうか。と思うと、スーパースターすぎて息子、娘をスポイルしてしまった過去のスターたちのことを思い出したりします。ボリスは極悪人とは描かれず、心の弱さに打ち勝てなかった男というふうです。

それにしてもワインの「おり」のような濃い血のりがすごい、怖かったです。殺された13人の子どもたちもけっこうショックだけど、最後の「血まつり」はもう映画でいえば「ミッドサマー」や「ウィッカーマン」のように怖い。そういう部分があったからか、このオペラは私には「オペラ」という特定の音楽芸術というより映画やお芝居の一種と感じられました。なので、演出が強すぎるとも、立方体の動きがうるさいとも特に思わず、そういう演出なんだなと思います。むしろ、普段毎日のように映画ばかり見ていて、クラシック音楽にもオペラにも縁のない私みたいな者こそ、初めてちゃんと見るオペラとして面白いかもしれません。

子役や主にコーラスを歌っていた方々を含めて、キャストの多さにも驚きました。海外からのキャストの数は少ないけど、どこの人かは見ていて全然気になりません。素晴らしいオーケストラの演奏、聞きほれてしまう美しい歌声、個性的で一本芯の通った演出、自然でゴージャスな演技。本物の、一流の芸術に触れると、たくさんの方々が人間の粋を集めて力いっぱいもてなしてくださっているように思えて、すごく幸せな気分になります。

オペラ苦手かも、と少し心配だったけど、行ってみてよかったです。また他の演目でチケット買ってみようと思います。