原作者ブルガーコフの「巨匠とマルガリータ」という本を以前読んだことがあって、あまりの面白さにショックを受けたので、同じ作家の作品の舞台が国立劇場で見られると聞いて飛びつきました。「巨匠」は荒唐無稽なSFというか悪魔ものファンタジー(私は「DEATH NOTEみたい」と当時感想を書いている)だったけど、これは史実に基づいた作品。まったく想像がつかない。
一方私の体調は、風邪が治りかけでときどき咳が我慢できなくなるので、風邪薬を飲んで参加。当然眠気との闘いになってしまって、気がつくと舞台が変わっていたり、登場人物が増えていたり…。まだしばらく上演があるので、もう一度行き直すかどうか悩みます。
戦争の正義は勝ったほうである。というのが戦後のその国の価値観になるけど、世界全体を日本から見ると、今とても悪い存在感を強めている現ロシアに歯向かった方は正義だ。と反射的に、感覚的に、思う人が多いはず。だから日本で今安心して上演できるんだろう。ただその中で、エレーナの夫、現地の闘いを抜けて妻も置いてベルリンに逃げるタリベルクは悪い男として描かれる。やはり逃げたゲトマンの軍にいたレオニードとエレーナはその後付き合い始めるんだけど。ヨーロッパって個人主義どころか、ファミリーがすべての基盤になっていて、家族と共にいる人たちが正義で、家族を置いて出ていくものが悪、って言えるくらいだ。その辺の価値観が面白いです。
これ原作も読んでみたいけど、けっこう入手困難ですね。ちょっと探してみるか・・・。