クリスマスに、NHKホールに、N響の「第九」を聴きに行くのって、なんか王道な感じがすごくしませんか?私はもうこのまま天寿を全うしてしまうんじゃないか、というくらい大トリ感すごいです。
渋谷で10年も働いてたし、海外に行くとけっこうクラシックも聴くのに、自分でチケット買って行ったことはほとんどなかった・・・。やっぱり一度行ってみないと、と思って思い立ってみたのです。
指揮は井上道義、ソロはバスが、先日の「ボリス・ゴドゥノフ」でワルい高僧を堂々と演じていた、ジョージア出身のゴデルジ・ジャネリーゼ。テノールはドイツからベンヤミン・ブルンス。メゾソプラノに藤村実穂子、ソプラノはドイツからクリスティーナ・ランツハマーというインターナショナルな方々。合唱は新国立劇場合唱団と東京オペラシンガーズのみなさん。
ステージ全体が俯瞰できる3階席だけど、人の顔までは見えないので、先日買ったオペラグラスを持参。体を左右に大きく動かしながら全身で演奏するオーボエ奏者、どっしりと安定感のある黒いドレスのコントラバス、出番を待ち構えて待ち構えてそーっとなでるように叩くバスドラム・・・細部が面白くてたまりません。
生演奏でストリングスを聴くと、どうしてこれほどの技能の演者たちが、太い1つの楽器を全員で奏でるように、音を合わせられるんだろう、と胸を突かれるんだ。生のバイオリンを聴くのは初めてではないのに、いつも心が裸になったように感じて、そこに到達するまでの大変な道のりが迫ってきて、なんだか涙が出そうになる。
音楽ってすごい。世界遺産の建築物みたいに、人間が作りだしたものの最高峰だな。オペラや歌のない演劇、バレエとかもそう。絵画とかは「人類が」というより一人の人の特性によるもののように思えるので、力を合わせて年月をかけて構築するものとはまた違う。
今日もこんなによいものを見せてもらえて、作った方々(ベートーベン含む)と神様に感謝です。